GIGO史

今日は31ページ目『退職』からです。

無事、、卒業の次の日からM`sコレクション渋谷店に就職が出来た自分は
初出勤の初日からかなりのカルチャー?ショックを受ける事となった。

大学時から制作を行ない、専門でもかなりの道具を使いこなしていた自分は
「初日に自分の持っている道具をリューター以外は全て持ってきて。」っと
言われており
「おっ!こんなに使い込んでるなんて凄いじゃん!」の褒め言葉の一つでも
もらえるかしら^^っと、
意気揚々にリュックに詰め込み持って行ったのだが

小野さんに一言
「お話にならないね。」

ガァ〜〜ン;;

「君はまずは道具作りからだね。」っとあさっり言われてしまった。。
そして、マネージャーでもある小野さんは多忙な上に
新米中の新米の自分にはまだまだ恐れ多く
直属の部下の貞(サダ)さんを自分の上司っとして紹介して頂き、
全てを一から叩き込んでくれました。

勿論、まずは道具作りから。
『タガネ』っと呼ばれる超硬な金属をダイヤモンドヤスリで形を整えて
それを鏡面になるまで磨き倒し石留めを行なう道具にしたり×3本
『ヤットコ』っと呼ばれるペンチのようなモノを用途に合わせた形に削り
これもまた鏡面になるまで磨き倒す。×5本
『板ヤスリ』。木材に両面テープを段差無く貼り、そこの紙ペーパーを綺麗に巻き付けて
面出し用のペーパーヤスリに。×4本
『スリ板』彫金机に取り付ける専用の板を糸ノコが出来る切り込みや、
ヤスリが当てやすいように溝を作ったり、っと、
とにかく自分の想像を超える道具の数々。。
正直、最初は「何でこんなに種類が必要なんやろ〜」とか「鏡面にする必要性」等
疑問に思いながらも、道具が無けりゃ〜シルバーを触らしてももらえず
最初の1週間はずっと道具を作っていた。
それでも研修期間の時給650円を貰っていたのだから、それもまた贅沢!!
そして、道具も無事完成し「よぉ〜し、バリバリ作るぞっ!!」っと活き込んでいると
「まずは俺の中指用の甲丸(コウマル)リングを作って。厚み2.7mmの幅6mmで!」
っと上司のサダさん。

えっ!?サダさん用の…!?

「僕のこの煮えたぎる熱い『やる気』を商品に注ぎたいんです!!サダさんが甲丸リングが欲しいなら自分で作って下さい!!」

などと言える筈も無く、渡された3mmの地金をシコシコ切り、
サダさんの指のサイズを測り、そのサイズになるように長さを整え
丸めてロー付けをして、2.7mmの甲丸になるようシコシコ削り
サダさんに持って行くと
「サイズも微妙に大きいし、綺麗な甲が出てないし、何よりロー目が出過ぎ!」
「やり直し!はいコレ。」っと、また3mmの地金を渡された。。

ナヌっ!!??

「俺が精神誠意込めたリングをポイっと!!??あなたは僕の努力を…….」

などど勿論言える訳でもなく。。工具が出来てからの1週間は
ずっとサダさん用の甲丸リングを作ってたなぁ〜。。

そして、ようやく納得してもらえるリングが完成し次に出された課題が『石留め』。
M`sコレクションの定番アイテムの中でも、比較的簡単な石留めのアイテムが
仕上がった状態で何百個単位で届き、
「あとは石を留めれば完成品になるから石留めをして磨き直ししといて」っとの事。
いやぁ〜さすが当時は全国に12店舗の直営店をやっていただけはあるね。
やれど、やれどドンドン、ジャンジャン届くからね。。
俺はM`sコレクションの石留め屋に就職したのかと思う程に。。

そんなこんなで気がつくと研修期間もとっくに終わり、時給は800円に。
入社をして半年たっていた。
毎日の作業は積まれた石留め作業に、客注用の急ぎのサイズ直し。

この『サイズ直し』が!!ホント要注意人物なんだよぉ!!

次回に続く。。

右から

サダさん/『Nagual-ナガール-』のデザイナージョセフ/新米くん

在職中に時間を見つけて制作した1点モノの『龍のバングル』
(これを今持っている人がいたら連絡下さい^^;)

次は33ページ『退職その2』へつづく。
(『退職』ってタイトルにするにはチッと早かったな..書きたい事があり過ぎた^^;)